「元請さんから『許可を持ってないと発注できない』と言われた」
「500万円以上の工事を受けたいけど、何が必要なのかさっぱりわからない」
建設業で長年腕を磨いてきた職人の方が、事業を拡大しようとしたときに必ずぶつかる壁——それが建設業許可です。
当事務所(行政書士法人フェリス)にも、塗装業・内装工事業・電気工事業など、さまざまな業種の事業者様からご相談をいただいています。
この記事では、建設業許可の5つの要件、費用の目安、手続きの流れ、そしてよくある失敗パターンまで、実務経験をもとにわかりやすく解説します。
具体例として塗装工事業を取り上げますが、基本的な許可の仕組みは29業種共通ですので、他の業種の方もぜひ参考にしてください。
そもそも建設業許可は「いつ」必要になるのか
まず結論からお伝えします。
1件の請負金額が500万円(税込)以上の工事を受注するには、建設業許可が必要です。
※建築一式工事の場合は1,500万円(税込)以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事が対象です。
逆に言えば、1件あたり500万円未満の工事だけを請け負う場合は、法律上は許可がなくても営業できます(「軽微な建設工事」と呼ばれます)。
ただし、ここには2つの大きな落とし穴があります。
落とし穴① 分割契約は違法
「800万円の工事を2つに分けて、400万円×2で契約すればいいのでは?」——これはアウトです。
実態として1つの工事を分割して500万円未満に見せかける行為は、「違法な分割契約」として処罰の対象になります。金額には材料費・消費税もすべて含めて判断されます。
落とし穴② 無許可営業の罰則は重い
許可なく500万円以上の工事を請け負った場合、建設業法第47条に基づき「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されます。法人の場合は両罰規定により最大1億円以下の罰金もあり得ます。
さらに、罰金刑以上の処罰を受けると、その後5年間は建設業許可を取得できなくなるという致命的なペナルティもあります。
500万円未満の工事が主でも許可を取るべき3つの理由
「うちは小さい工事が中心だから、許可はいらないかな」——そう考える方も多いのですが、実は許可を取得するメリットは非常に大きいです。
① 元請企業・ゼネコンからの信頼獲得
近年、コンプライアンス強化の流れで、請負金額にかかわらず許可業者への発注を義務付ける元請会社が増えています。許可がないというだけで、仕事のチャンスを逃している可能性があります。
② 金融機関・取引先からの信用度アップ
建設業許可を取得するということは、行政機関による経営状態・経歴の審査をパスしたということ。融資審査や新規取引で高い信用が得られます。
③ 事業規模の拡大と公共工事への参入
許可があれば金額の上限なく受注可能。さらに経営事項審査(経審)を経れば、公共工事の入札にも参加できるようになります。
建設業許可の5つの要件
ここからが本題です。建設業許可を取得するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
要件① 経営業務の管理責任者(常勤役員等)を置くこと
法人であれば常勤の役員、個人事業主であれば本人が、建設業の経営管理に関する一定の経験を持っていることが求められます。
| 経験の区分 | 必要な年数 |
|---|---|
| 建設業の経営業務管理責任者(役員・事業主)としての経験 | 5年以上 |
| 同等の地位(執行役員等)での経営経験 | 5年以上 |
| 役員等として財務・労務・業務運営を補佐した経験 | 5年以上(+補佐者の配置要件あり) |
ここでのポイントは、業種は問わないということ。たとえば塗装工事業の許可を取りたい場合でも、過去に電気工事業や内装工事業で5年以上の経営経験があれば、この要件を満たせます。
ただし、単なる現場監督や職人としての経験は対象外です。契約締結や対外的な責任を負う立場(役員・個人事業主)であった必要があります。
2020年の法改正により、「組織としての管理体制」を評価する仕組みに変わりました。 個人の経験だけでなく、財務・労務・業務運営の補佐者を配置することで要件を満たせるケースもあります。
要件② 営業所ごとに専任技術者を配置すること
各営業所に、その業種に関する技術力を持つ者を常勤で配置する必要があります。
専任技術者になるには、以下のいずれかを満たす必要があります。
■ 国家資格・技能検定で証明する場合
塗装工事業を例にすると、以下の資格が有効です。
| 資格名 | 要件 |
|---|---|
| 1級土木施工管理技士 / 1級建築施工管理技士 | 実務経験不要(即OK) |
| 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装) | 実務経験不要(即OK) |
| 2級建築施工管理技士(仕上げ) | 実務経験不要(即OK) |
| 1級塗装技能士 | 実務経験不要(即OK) |
| 2級塗装技能士 | 合格後3年以上の実務経験が必要 |
※2級塗装技能士で平成16年3月31日以前の合格者は、実務経験「1年以上」で足ります。
※2級土木施工管理技士は「鋼構造物塗装」種目に限ります。通常の「土木」では塗装工事業の技術者にはなれません。
■ 実務経験で証明する場合(資格がない方)
| 学歴区分 | 必要な実務経験年数 |
|---|---|
| 指定学科(土木工学・建築学)の大学・高専卒業 | 3年以上 |
| 指定学科の高校卒業 | 5年以上 |
| 上記以外(学歴不問) | 10年以上 |
最も多いご相談パターンが、この「10年の実務経験」での申請です。 資格がなくても許可は取れますが、10年分の工事実績を書類で証明しなければならないため、準備がかなり大変です(この点は後述します)。
要件③ 財産的基礎(500万円)があること
倒産リスクが低いことを証明するため、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 自己資本(純資産)が500万円以上:直近の決算書で確認
- 500万円以上の資金調達能力:金融機関の「預金残高証明書」で証明
個人事業主や新設法人の場合は、預金残高証明書で証明するのが一般的です。
⚠ よくある失敗: 残高証明書には有効期限があります(愛知県の場合、発行日から1ヶ月以内)。銀行に早めに依頼しすぎて、申請時に期限切れになってしまうケースが頻発しています。申請スケジュールから逆算して取得のタイミングを合わせることが重要です。
要件④ 誠実性・欠格要件に該当しないこと
過去に法令違反がないこと等が求められます。具体的には以下の項目です。
- 詐欺・横領などの刑罰歴がないこと
- 建設業許可の取消しから5年以内でないこと
- 暴力団関係者でないこと
- 成年被後見人・被保佐人に該当しないこと
法人の場合は役員全員が欠格要件に該当しないことが必要です。「登記されていないことの証明書」(東京法務局で取得)と「身分証明書」(本籍地の市区町村で取得)を役員全員分準備することになります。
要件⑤ 社会保険等に適正に加入していること
現在の建設業許可では、以下の保険への加入が必須です。
- 健康保険(協会けんぽ等)
- 厚生年金保険
- 雇用保険
法人事業所(社長1人の会社を含む)や、常時5人以上の従業員がいる個人事業主は、すべて加入義務があります。未加入のままでは許可が取れませんので、まだ加入していない場合は先に手続きを進めてください。
手続きの流れ ─ ご依頼から許可取得まで
当事務所にご依頼いただいた場合の標準的な流れです。
- STEP 1:初回ヒアリング・要件診断(無料)
経営体制・資格・経験・決算状況を精査し、許可取得の可能性を判定 - STEP 2:お見積もり提示・受任契約
手続方針と明確なお見積もりをご提示 - STEP 3:必要書類の確認・公的証明書の取得代行
法務局・税務署・市区町村での証明書取得を代行 - STEP 4:申請書類の作成・確認・捺印
法令様式に基づく申請書一式を当事務所が作成 - STEP 5:愛知県建設部建設業課へ提出・受理
管轄窓口への提出と補正対応を代行 - STEP 6:審査完了・「建設業許可通知書」受領
全体スケジュールの目安: 受任から申請提出まで約3〜4週間、提出から許可通知書の到達まで約1〜1.5ヶ月。合計でおおむね2〜3ヶ月程度です。
費用の目安
愛知県知事許可(一般建設業・新規申請)の場合です。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 行政書士報酬(当事務所) | 132,000円〜(税込・国家資格証明の場合) |
| 愛知県収入証紙代(法定手数料) | 90,000円(非課税) |
| 公的証明書の取得実費 | 数千円程度 |
| 合計の目安 | 約222,000円〜 |
※実務経験(10年等)で専任技術者を証明する場合は154,000円〜(税込)となります。役員構成や過去の書類保管状況により作業量が変動するため、必ず事前に無料でお見積もりを提示いたします。
よくある失敗パターン4選 ─ 申請で本当につまずくポイント
建設業許可の申請は、要件を満たしていても書類の準備段階で挫折する方が少なくありません。当事務所で実際に多いケースをご紹介します。
① 実務経験10年分の証明ができない
「10年以上の経験はある」と口頭で説明しても、行政は認めてくれません。
10年の実務経験で申請する場合、工事の契約書・注文書・請求書・完了報告書・入金通帳などを時系列で積み上げ、「この期間、確かに塗装工事の実務に従事していた」と客観的に証明する必要があります。
長年の経験がある方でも、過去の書類を整理して保管していないケースは非常に多いです。資料が見つからず、許可取得を断念されてしまう方もいらっしゃいます。
対策: 開業したての方でも、今のうちから契約書・請求書・通帳を整理して保管しておくことをおすすめします。5年後・10年後に許可を取ろうと思ったとき、この習慣が効いてきます。
② 預金残高証明書の「日付ずれ」
先述のとおり、残高証明書は発行日から1ヶ月以内のものが求められます(愛知県の場合)。
「早めに準備しておこう」と思って銀行に依頼したら、いざ申請するときに有効期限が切れていた——このパターンは本当に多いです。
対策: 残高証明書は、申請書類がほぼ揃ったタイミングで取得するのがベストです。当事務所では申請スケジュールに合わせた取得タイミングを具体的にご案内しています。
③ 専任技術者の「常勤性」が否定される
専任技術者は、申請者の営業所に常勤している必要があります。
ところが、他の会社にも在籍していたり、個人事業の兼業があったり、別法人の役員を務めていたりすると、社会保険の加入記録や法人登記から発覚し、虚偽申請とみなされる危険があります。
許可が取り消されれば5年間は再取得できませんので、要件は正直にクリアすることが最も大切です。
④ 自宅を営業所にする場合の要件不備
自宅を営業所にすること自体は認められますが、以下の条件を満たす必要があります。
- 事務所スペースが居住空間と明確に区分されていること
- 郵便受け・看板・固定電話が設置されていること
- 実態のある営業活動をしていること
写真の提出や現地確認が求められますので、「リビングの一角にデスクを置いているだけ」ではNGです。
よくあるご質問
Q. 個人事業主でも建設業許可は取れますか?
A. はい、個人事業主でも問題なく取得できます。ご本人が「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の2つの要件を兼ねて申請するケースが一般的です。
Q. 国家資格を持っていなくても許可は取れますか?
A. 取れます。塗装工事業の場合、実務経験が通算10年以上あれば、資格がなくても専任技術者として申請可能です。ただし、過去10年分の工事実績を書類で証明する必要があります。
Q. 法人設立と同時に許可を取りたいのですが可能ですか?
A. 可能です。個人事業主時代の経営経験や実務経験を新法人に引き継いで申請するスキームがあります。当事務所では法人設立手続きと許可申請の一括サポートも承っております。
Q. 他の行政書士に「要件を満たしていない」と断られたのですが…
A. 当事務所にご相談ください。常勤性の証明などは代替書類の活用や立証方法に経験と知識が求められる分野です。セカンドオピニオンとして、適法に許可が取れるルートがないか徹底的に検証いたします。
Q. 許可を取得した後、何かやることはありますか?
A. はい、許可取得後にも以下の義務があります。
- 毎年の決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内に提出)
- 5年ごとの更新申請(満了日の30日前までに完了)
- 各種変更届(役員・商号・所在地・専任技術者の変更時)
- 許可票(金看板)の掲示(営業所および施工現場)
特に決算変更届は毎年の義務であり、提出を怠ると5年後の更新ができなくなります。当事務所では許可取得後の期限管理・届出サポートも継続して行っております。
なぜ「行政書士法人フェリス」に頼むべきか
建設業許可は、「書類を書いて出すだけ」の仕事ではありません。
お客様の経歴や資格、会社の状態を細かくヒアリングし、「この方がどのルートで許可を取れるか」を設計する仕事です。
- 要件診断から許可取得まで一気通貫 ─ 「そもそも取れるのか?」という段階から、書類作成・窓口提出・許可証受領まで丸ごとお任せいただけます
- 許可後のアフターフォローまで対応 ─ 毎年の決算変更届、5年ごとの更新、各種変更届まで期限管理付きでサポート
- 他士業との連携体制 ─ 税理士・社労士との連携により、社会保険加入や決算書の整備もワンストップで対応可能
まとめ
建設業許可は、事業を本気で拡大していきたい建設業者にとって避けて通れない通過点です。
要件は5つ。書類は多い。でも、一つひとつ順番に進めれば、決して取得できないものではありません。
大切なのは、早めに専門家に相談して、自分が許可を取れるかどうかを知ること。要件が足りなくても、「今から何を準備すればいいか」がわかれば、計画的に許可取得を目指せます。
「自分でも建設業許可が取れるのか確認したい」「書類の準備を任せたい」という方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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行政書士法人フェリス
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