この記事は「相続シリーズ」全5回の第3回です。
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- こんなはずじゃなかった…実際にあった相続トラブル事例5選
- 👉 遺言書の種類と選び方|公正証書遺言がおすすめな理由(この記事)
- 相続が発生したら?手続きの流れと期限を完全ガイド
- 元気なうちに始める相続対策|遺言・家族信託・後見制度
前回の記事で、相続トラブルを防ぐ最も確実な方法は「遺言書を書いておくこと」だとお伝えしました。
「じゃあ、遺言書ってどうやって作るの?」
今回は、遺言書の種類・費用・作り方を、できるだけわかりやすく解説します。
遺言書は3種類ある
法律で認められている遺言書は、以下の3種類です。
| 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
|---|---|---|---|
| 作成者 | 本人が全文を手書き | 公証人が作成 | 本人が作成(手書き不要) |
| 保管場所 | 自宅 or 法務局 | 公証役場 | 自分で保管 |
| 証人 | 不要 | 2名必要 | 2名必要 |
| 費用 | 無料〜3,900円 | 数万円〜 | 11,000円 |
| 検認 | 必要(法務局保管は不要) | 不要 | 必要 |
| 無効リスク | あり(方式不備) | 極めて低い | あり |
| おすすめ度 | ○ | ◎ | △ |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 自筆証書遺言 ─ 手軽だけどリスクあり
特徴
全文を自分の手で書く遺言書です。紙とペンがあれば今すぐ書けるので、一番手軽です。
メリット
- 費用がかからない(法務局に預ける場合は3,900円)
- いつでも書き直せる
- 誰にも知られず作成できる
デメリット
- 方式不備で無効になるリスクがある(日付の書き方一つで無効に)
- 自宅保管の場合、紛失・改ざんの危険がある
- 死後に家庭裁判所の「検認」手続きが必要(法務局保管の場合は不要)
- 内容が曖昧だと、結局もめる原因になる
「自筆証書遺言保管制度」(2020年〜)
法務局で保管してもらえる制度ができました(手数料3,900円)。自宅保管のリスク(紛失・改ざん)は解消されますが、内容のチェックはしてもらえないため、方式不備のリスクは残ります。
② 公正証書遺言 ─ 最も確実で安全【おすすめ】
特徴
公証人(法律の専門家)が遺言者の意思を聞き取り、法律的に正しい文書を作成します。原本は公証役場に保管されます。
メリット
- 無効になるリスクが極めて低い
- 原本が公証役場に保管されるので紛失・改ざんの心配がゼロ
- 家庭裁判所の検認が不要(すぐに手続き開始可能)
- 字が書けなくても作成可能(口頭で伝えればOK)
デメリット
- 費用がかかる(公証人手数料+行政書士の報酬)
- 証人2名の立会いが必要
費用の目安
公証人手数料は財産の価額によって変わります(2025年10月改定)。
| 財産価額 | 手数料 |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万〜3,000万円 | 26,000円 |
| 3,000万〜5,000万円 | 33,000円 |
| 5,000万〜1億円 | 49,000円 |
※ 財産総額1億円以下の場合は「遺言加算」13,000円がプラスされます。実務上、大半のケースがこれに該当します。
行政書士に遺言書の起案を依頼する場合の報酬は、当事務所では77,000円〜です(公正証書遺言の場合)。公証人との調整、証人の手配、当日の立会いまで含まれます。
2025年10月からの新制度
2025年10月より、ウェブ会議方式での公正証書遺言作成が可能になりました。足腰が不自由な方や、公証役場まで出向くのが難しい方にも選択肢が広がっています。
③ 秘密証書遺言 ─ 実務ではほぼ使われない
特徴
遺言の内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人に証明してもらう方式です。
使われない理由
- 自筆でなくてもよいが、公証人が内容を確認しないので無効リスクが残る
- 公正証書遺言のように保管してもらえないので紛失リスクもある
- 「自筆証書のデメリット」と「公正証書の費用」の両方を抱えるため、メリットが少ない
実務では年間の利用件数がごくわずかで、基本的に選択肢から外して問題ありません。
結論:公正証書遺言を選びましょう
3種類を比較すると、公正証書遺言がほぼ全てのケースで最善の選択です。
理由をまとめると:
- 確実性 — 公証人が作成するので、方式不備で無効になることがまずない
- 安全性 — 原本は公証役場に保管。紛失・改ざんの心配がゼロ
- スピード — 検認不要。死後すぐに遺言の内容を実行できる
- 安心感 — 「ちゃんとした遺言がある」という事実が、遺族の安心感につながる
「費用がかかる」というデメリットも、前回お話しした裁判費用(数十万〜数百万円)と比べれば、数万円の保険料のようなものです。
公正証書遺言の作成ステップ
当事務所にご依頼いただいた場合の流れをご紹介します。
STEP 1. 初回ヒアリング(無料)
ご家族の構成、財産の内容、「誰に何を残したいか」というご希望をお聞きします。
STEP 2. 必要書類の収集
以下の書類を集めます(当事務所で代行できるものも多いです)。
- 遺言者の印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
- 不動産がある場合:登記事項証明書+固定資産税評価証明書
- 預貯金がある場合:通帳のコピー
STEP 3. 遺言書の原案作成
お客様のご希望をもとに、法律的に正しい文案を作成します。
STEP 4. 公証役場との事前打合せ
原案を公証人に送付し、内容を確認。必要があれば修正します。
STEP 5. 公正証書遺言の作成(当日)
遺言者ご本人と証人2名(当事務所で手配)が公証役場に出向き、公証人が読み上げた内容を確認。署名・押印して完成です。
所要時間は30分〜1時間程度。最初のご相談から完成まで、通常2〜4週間です。
よくあるご質問
Q. 遺言書は何歳から書けますか?
法律上は15歳から作成できます。年齢の上限はありませんが、認知症などで判断能力が低下すると作成が困難になります。「元気なうちに」が鉄則です。
Q. 遺言書を書いたら変更できますか?
いつでも何度でも変更できます。新しい遺言書を作れば、前のものは自動的に撤回されます。「一度書いたら取り返しがつかない」ということは一切ありません。
Q. 遺言書に書けない内容はありますか?
「兄弟仲良くしてね」のような付言事項(法的拘束力のないメッセージ)も書けます。実務的には、なぜこの分け方にしたのかの理由を付言事項に書いておくと、遺族の納得感が高まり、トラブル防止に効果的です。
Q. 遺留分ってなんですか?
配偶者・子などの相続人には、遺言書の内容にかかわらず最低限保証される相続分(遺留分)があります。遺留分を侵害する遺言も「無効」にはなりませんが、侵害された相続人が「遺留分侵害額請求」を行うことができます。遺言書を作成する際には、遺留分に配慮した内容にすることをおすすめします。
まとめ
- 遺言書は3種類。実質的な選択肢は「自筆証書」か「公正証書」の2つ
- 公正証書遺言が最も確実・安全・スピーディー
- 費用は公証人手数料+行政書士報酬で、当事務所では77,000円〜
- 2025年10月からウェブ会議方式も可能に
次回は「相続が発生したら何をすればいいのか」を、時系列で整理した完全ガイドをお届けします。
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