この記事は「相続シリーズ」全5回の第4回です。
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「父が亡くなりました。何から手をつければいいですか?」
ご相談で最も多いのがこの質問です。
相続手続きには期限のあるものがいくつかあり、知らないまま放置すると不利益を被ることがあります。今回は「いつまでに」「何をすべきか」を時系列で整理しました。
相続手続きタイムライン
📅 7日以内 ─ 死亡届の提出
亡くなった日から7日以内に、市区町村役場に死亡届を提出します。
一宮市の場合は市役所の市民課(本庁舎1階)です。葬儀社が代行してくれることがほとんどですので、確認してみてください。
死亡届と同時に「火葬許可申請」もあわせて行います。
📅 14日以内 ─ 年金・健康保険の届出
- 年金事務所への届出(年金受給権者死亡届)
- 国民健康保険証の返却(市区町村)
- 介護保険の届出
これらは期限が短いので、葬儀が落ち着いたら早めに進めましょう。
📅 3ヶ月以内 ─ 相続放棄の判断【重要】
「相続する」か「放棄する」かの判断期限です。
亡くなった方に借金がある場合、相続放棄をしなければ借金も相続することになります。
相続放棄の申述は家庭裁判所で行います(行政書士の業務範囲外なので、弁護士または司法書士をご紹介します)。
⚠️ 3ヶ月を過ぎると、原則として放棄ができなくなります。 「借金があるかもしれない」と少しでも思ったら、すぐに調査を始めてください。
📅 4ヶ月以内 ─ 準確定申告
亡くなった方に確定申告の義務があった場合(自営業、不動産収入がある場合など)、死亡日から4ヶ月以内に「準確定申告」を行う必要があります。
これは税理士の業務です。該当する可能性がある場合は、早めに税理士にご相談ください。
📅 10ヶ月以内 ─ 相続税の申告・納付
遺産の総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。
例えば、相続人が配偶者+子2人の場合:
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
遺産がこの金額を超えなければ、基本的に相続税の申告は不要です。ただし、配偶者控除や小規模宅地等の特例を使う場合は、控除後にゼロでも申告が必要な点に注意してください。
これも税理士の業務です。
📅 3年以内 ─ 相続登記【2024年4月から義務化】
不動産を相続した場合、相続登記(名義変更)が必要です。
2024年4月からは法的義務となり、正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過去に相続した未登記の不動産も対象です(期限は2027年3月31日まで)。
相続登記は司法書士の業務です。当事務所では、戸籍収集と遺産分割協議書の作成までをサポートし、登記は提携司法書士にスムーズに引き継ぎます。
行政書士に依頼できる部分
相続手続きの中で、行政書士がお手伝いできる部分を具体的にまとめます。
できること
1. 相続人の調査(戸籍収集)
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を、漏れなく集めます。
2024年3月から始まった広域交付制度により、最寄りの市区町村窓口で全国の戸籍を請求できるようになりました。以前は各本籍地に郵送請求していたので、大幅に効率化されています。
2. 法定相続情報一覧図の作成
集めた戸籍をもとに「相続人の一覧図」を作成し、法務局の認証を受けます。これがあれば、銀行や法務局での手続きのたびに戸籍の束を持ち歩く必要がなくなります。
3. 財産の調査・財産目録の作成
不動産(登記事項証明書の取得)、預貯金(残高証明書の請求)などを調査し、一覧表にまとめます。
4. 遺産分割協議書の作成
相続人全員が合意した内容を、法的に有効な書面にします。不動産は登記事項証明書の記載をそのまま転記する必要があるなど、細かなルールがあります。
5. 預貯金の解約手続き
遺産分割協議書をもとに、金融機関での口座解約・払戻しの手続きを代行します。
できないこと(他の専門家に橋渡し)
| やりたいこと | 相談先 |
|---|---|
| 相続人同士が揉めている → 交渉 | 弁護士 |
| 相続登記(不動産の名義変更) | 司法書士 |
| 相続税の申告・節税相談 | 税理士 |
| 相続放棄の申述 | 弁護士 or 司法書士 |
当事務所では、いずれの専門家とも提携していますので、「誰に相談すればいいかわからない」という場合も、まずは当事務所にご連絡いただければ、適切な専門家につなぎます。
戸籍収集のコツ ─ プロの実務ノウハウ
相続手続きの中で最も手間がかかるのが、戸籍の収集です。いくつかポイントをご紹介します。
「最新の戸籍」から遡る
死亡記載のある戸籍(最終本籍地の市区町村で取得)を起点に、どんどん過去に遡ります。転籍や婚姻で本籍地が変わっている場合は、前の市区町村にも請求が必要です。
古い戸籍の読み解きに注意
昭和以前の戸籍は手書きで、旧字体が使われていることも。「廿」(にじゅう)、「弐」(に)など、普段見慣れない表記が出てきます。読み間違えると相続人の特定に影響するので、経験がものを言う部分です。
法定相続情報一覧図を活用
戸籍の束は分厚くなりがちですが、法定相続情報一覧図を作成すれば、以後の手続きはA4用紙1枚で完結します。銀行ごとに戸籍を持っていく必要がなくなるので、かなりの時短になります。
遺産分割協議書の注意点
遺産分割協議書は「書き方を間違えると使えない」書類です。いくつか実務上の注意点をお伝えします。
不動産の記載は登記事項証明書と完全一致
「実家」「自宅」ではダメです。登記事項証明書に記載された通りに、所在地・地番・家屋番号を正確に書きます。一文字でも違うと、法務局で登記を受け付けてもらえません。
全員の署名+実印+印鑑証明書
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。印鑑証明書も添付します。遠方に住んでいる相続人がいる場合は、郵送でのやりとりになるので余裕をもってスケジュールを組みましょう。
「記載漏れ」対策の一文
「本協議書に記載のない遺産が発見された場合は、◯◯が取得する」
この一文を入れておくと、後から財産が見つかった場合に改めて協議書を作り直す手間が省けます。
まとめ
| 期限 | やること | 相談先 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届 | 市区町村 |
| 14日以内 | 年金・保険届出 | 年金事務所 |
| 3ヶ月以内 | 相続放棄の判断 | 弁護士/司法書士 |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告 | 税理士 |
| 10ヶ月以内 | 相続税申告 | 税理士 |
| 3年以内 | 相続登記 | 司法書士 |
| 期限なし | 戸籍収集・協議書作成等 | 行政書士 |
次回は最終回。「元気なうちにできる相続対策」として、遺言書だけでなく、家族信託や成年後見制度についても解説します。
→ 次回:元気なうちに始める相続対策|遺言・家族信託・後見制度
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