この記事は「相続シリーズ」全5回の第1回です。
- 👉 「うちは大丈夫」が一番危ない!相続トラブルの実態(この記事)
- こんなはずじゃなかった…実際にあった相続トラブル事例5選
- 遺言書の種類と選び方|公正証書遺言がおすすめな理由
- 相続が発生したら?手続きの流れと期限を完全ガイド
- 元気なうちに始める相続対策|遺言・家族信託・後見制度
「うちは財産なんてほとんどないし、相続で揉めるなんてことないよ」
こんな風に思っていませんか?
実は、この考えが一番危険です。
今回は、裁判所の統計データをもとに、相続トラブルがどんな家庭で起きているのか、その実態をお話しします。
衝撃の数字 ─ 相続トラブルの76%は「普通の家庭」で起きている
「相続で揉めるのはお金持ちの話」。
そう思っている方が多いのですが、これは完全な誤解です。
令和6年の司法統計(最高裁判所)によると、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件15,379件のうち、遺産総額の内訳はこうなっています。
| 遺産の総額 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 5,098件 | 33.1% |
| 1,000万〜5,000万円 | 6,621件 | 43.0% |
| 5,000万〜1億円 | 1,655件 | 10.8% |
| 1億〜5億円 | 1,048件 | 6.8% |
| 5億円超 | 98件 | 0.6% |
5,000万円以下のケースが76.1%。
つまり、相続トラブルの4件に3件は、いわゆる「普通の家庭」で起きているんです。
しかも1,000万円以下、つまり「自宅と少しの貯金」程度の財産でも、全体の3分の1を占めています。
なぜ「普通の家庭」ほど揉めるのか
理由はシンプルです。3つあります。
理由① 「分けられない財産」が中心だから
お金持ちの家庭は、預貯金・株・不動産と財産が分散しているので、わりとキレイに分けられます。
一方、「普通の家庭」の財産は自宅の不動産がほとんどというケースが多い。
不動産は現金のように「半分に割る」ことができません。
- 売却すれば住む場所がなくなる
- 共有名義にすると、将来また揉める
- 一人が相続すると、他の人に渡す現金がない
この「分けられない問題」が、兄弟間の対立を生みます。
理由② 「うちは大丈夫」と対策していないから
財産が多い家庭は、早い段階で税理士や弁護士に相談して、遺言書を用意しているケースが多いです。
逆に「財産なんてないから」と思っている家庭ほど、何の対策もしていない。
遺言書がなければ、法律の計算式(法定相続分)だけで機械的に分けることになります。
「お母さんの介護を10年間やったのは私なのに、何もしなかった弟と同じ取り分?」
こういう感情のぶつかり合いが起きやすいのです。
理由③ 「お金の話」ができていないから
日本では「生きているうちにお金の話をするのは縁起が悪い」という文化があります。
でも、その結果として、亡くなった後に初めて財産の全容を知り、兄弟が「聞いていない」「知らなかった」とぶつかるわけです。
生前の対話が一番の予防策だということは、データが物語っています。
こんなケースが「裁判沙汰」になっている
もう少し具体的に見てみましょう。実際に家庭裁判所に持ち込まれるケースはこんなパターンが多いです。
🏠 自宅の扱いで兄弟が対立
「長男は売却したい。次男は住み続けたい。」
お互いの生活事情があるので、どちらの言い分も正しい。でも、不動産は一つしかないので折り合いがつかない。
💰 口座が凍結されて生活できない
銀行は名義人の死亡を知ると、口座を凍結します。遺産分割が終わるまで、原則として引き出しができません。
「夫名義の口座しかなかったので、生活費が出せなくなった」というご相談は本当に多いです。
👤 知らない相続人が出てきた
戸籍を集めてみたら、亡くなった父に認知した子がいた…。
こうなると遺産分割協議は全員参加が必須ですから、見知らぬ人と財産の分け方を話し合わなければなりません。
😤 介護の貢献が反映されない
「10年間つきっきりで介護した私と、盆と正月しか帰ってこなかった弟が同じ取り分」
法律上、寄与分(特別な貢献に対する上乗せ)を認めてもらうには家庭裁判所での主張が必要です。遺言書で「長女に多く」と書いておけば、こうした不満は生まれません。
「争続」を防ぐたった一つの方法
ここまで読んで「うちも危ないかも…」と感じた方もいるかもしれません。
でも、安心してください。
相続トラブルを防ぐ最も確実な方法は、遺言書を書いておくことです。
遺言書があれば:
- ✅ 遺産分割協議がそもそも不要になる
- ✅ 「誰が何をもらうか」が明確になる
- ✅ 相続人同士が顔を合わせて揉める必要がなくなる
- ✅ 口座凍結も遺言執行者がスムーズに解決できる
「遺言書なんて大げさ」と思うかもしれません。
でも考えてみてください。遺言書の作成費用は数万円です。一方、相続で裁判になると、弁護士費用だけで数十万〜数百万円。しかも解決まで2年以上かかることもザラです。
「数万円の予防策」と「数百万円の裁判費用」。どちらが賢い選択かは明らかではないでしょうか。
「早すぎる」ということは絶対にない
「まだ元気だし、遺言書は早いんじゃない?」
そう思う方もいるでしょう。でも、遺言書は元気なうちにしか書けません。
認知症が進行すると、法的に有効な遺言を書くことが困難になります。
実際に、「お父さんに遺言を書いてほしいんですが…」とご相談に来られた時には、すでにお父様が認知症で判断能力がなく、遺言が作れなかったというケースは珍しくありません。
「元気な今だからこそ」書けるのが遺言書なんです。
まとめ
- 相続トラブルの76%は遺産5,000万円以下の普通の家庭で起きている
- 「分けられない財産(不動産)」と「対策の不備」が主な原因
- 防ぐ方法は遺言書を書いておくこと
- 遺言書は元気なうちにしか書けない
次回の記事では、実際に起きた相続トラブルの事例を5つ紹介します。「うちもこうなるかも…」と具体的にイメージしていただける内容です。
→ 次回:こんなはずじゃなかった…実際にあった相続トラブル事例5選
相続のご相談は行政書士法人フェリスへ
「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら、まずは一度ご相談ください。
初回相談は無料です。状況をお聞きしたうえで、今やるべきことを整理してお伝えします。
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